AEROSMITHの初めて日本発売されたアルバムタイトルであり
かつオープニングナンバー
TOYS IN THE ATTIC
闇夜のヘヴィ・ロック
(屋根裏部屋の玩具)
ほの暗い屋根裏部屋
叫び声だけ聞こえて
何も見えぬ この夢がすべて
昼間の世界に別れを告げ 愛を胸におし隠し
不安に苛まれた年月も すでに昨日までの事
今は叫び声だけ 何も見えない
この夢がすべて
屋根裏部屋の玩具
壊れていたり 汚れていたり 無気味だったり
君らも 僕らも 人から忘れられた
屋根裏部屋の玩具
今はこの悪夢がすべて
私の大好きな詩人中原中也さんの、とても共感している詩です
玩具の賦
昇平に
どうとでもなれだ
俺には何がどうでも構いはしない
どうせスキだらけじゃないか
スキの方を減らそうなんてチャンチャラ可笑しい
俺はスキの方なぞ減らそうとは思わぬ
スキでない所をいっそ放りっぱなしにしている
それで何がわるかろう
俺にはおもちゃが要るんだ
おもちゃで遊ばなくちゃならないんだ
利得と幸福とは大体は混ざる
だが究極では混ざりはしない
俺は混ざらないとこばっかり感じていなきゃあならなくなってるんだ
月給が増えるからといっておもちゃが投げ出したくはないんだ
俺にはおもちゃがよく分かってるんだ
おもちゃのつまらないとこも
おもちゃがつまらなくもそれを弄べることはつまらなくはないことも
俺にはおもちゃが投げ出せないんだ
こっそり弄べもしないんだ
つまり余技ではないんだ
おれはおもちゃで遊ぶぞ
おまえは月給で遊び給えだ
おもちゃで俺が遊んでいる時
あのおもちゃは俺の月給の何分の一の値段だぞと云うはよいが
それでおれがおもちゃで遊ぶことの値段まで決まったつもりでいるのは
滑稽だぞ
俺はおもちゃで遊ぶぞ
一生懸命おもちゃで遊ぶぞ
贅沢なぞとは云いめさるなよ
おれ程おまえもおもちゃが見えたら
おまえもおもちゃで遊ぶに決まっているのだから
文句なぞを云うなよ
それどころか
おまえはおもちゃを知ってないから
おもちゃでないことを分かりはしない
おもちゃでないことをただそらんじて
それで月給の種なんぞにじてやがるんだ
それゆえもしも此の俺がおもちゃも買えなくなった時には
写字器械め!
云わずと知れたことながら
おまえが月給を取ることが贅沢だと云ってやるぞ
行ったり来たりしか出来ないくせに
行っても行ってもまだ行こうおもちゃ遊びに
何とか云えるがものはないぞ
おもちゃが面白くもないくせに
おもちゃを商うことしか出来ないくせに
おもちゃを面白い心があるから成り立っているくせに
おもちゃで遊んでいらあとは何事だ
おもちゃで遊べることだけが美徳であるぞ
おもちゃで遊べたら遊んでみてくれ
おまえに遊べる筈はないのだ
おまえにはおもちゃがどんなに見えるか
おもちゃとしか見えないだろう
俺にはあのおもちゃこのおもちゃと、おもちゃおもちゃで面白いんぞ
おれはおもちゃ以外のことは考えてみたこともないぞ
おれはおもちゃが面白かったんだ
しかしそれかと云っておまえにはおもちゃ以外の何か面白いことというのがあるのか
ありそうあな顔はしとらんぞ
あると思うのはそりゃ間違いだ
にやぁッとするのと面白いのとは違うんぞ
ではおもちゃを面白くしてくれなんぞと云うんだろう
面白くなりゃあ儲かるんだというんでな
では、ああ、それでは
やっぱり面白くはならない写字器械め!
−−こんどは此のおもちゃの此処ンところをこう改良して来い!
トットといって云ったようにして来い!
(1934年2月)
「中原中也詩集 河上徹太郎編(角川文庫)」より
※私が、現代仮名遣いにいたしました
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