La'Mule Live

もしも君が僕でいいなら……

二千弐年 弐 月 四 日
横浜アリーナサウンドホール


何の疑いもなく
「いよいよツアーファイナル!Liveだぁ〜!真に会える!ルンルンルン♪」と、
仕事を終え、東京駅から新横浜へ向かう。わくわくわく。
「真横浜」へ「真幹線」で、とか言っていて、「違うから」と怒られたので、
じゃあ、「真のいる新横浜」とか言っていましたが・・・

開演時刻に会場へ到着、最初、間違えて、貸スタジオ?の方へ入ってしまい、
バンドマンがいっぱいいて、かなり気まずかった。

で、やっと会場へ入れば、いきなりKAIKIさんが立っているし。。。
で、久しぶりの人々とか友達と「おおっ」とかしながら、ホールに入って、
当然、上手に向かう。「ん?人少なくないか?(^^;)」
もう開演時刻なのに・・・な〜ぜに、スイスイと。。。友達のところへ到着。
わいわいガヤガヤ、奈良の報告したりして大笑いな一時。
なので、ステージ上のセットとか、まったく、目に入っていなかった。
ケイがギタアチェックしているのも、見慣れた光景ではあったので、
視界の片隅に入るのみ、が、ん?何かちょっと違和感を感じたけれど、
(後で思えば、ギタアが違った・・・)
話に夢中で、確かめもせず、気にしなかった。

そして、いよいよ、客電が落ち、SEが流れて・・・
と、ん?
登場した直が、こっちへ来る。。。ん?受け狙い?
が、かなり真面目な顔してる。。。え?ギタアもって、合わせているよ・・・
え・・・ええっ!
足元のパットを見た!
モニターに隠れて在るのだと思っていたら、違った。
そこには、見慣れた真の青がなくて、見なれないセットが、見なれない位置にあった。
「な、何?!何なの?!」パニックというより、真っ白。
思わず、「どういこと?!」と、とっさにケイを見てみたら、
ケイがじっとこちらを見ていた・・・
いつもなら、お互いに、それですぐにそろそろと視線を外すのに、
しばらく見合ってしまった。

それでわかった。真は、もう、出て来ない・・・。
「爛」が始まってしまって・・・何をどう受け止めたらいいのか、
まったくわからない。
直を見る、紺を見る・・・曲は頭に入って来ないよ!
だけど、どこか冷静に、セットリストを確認。
「爛」の後すぐに「MC」となっている。
で、いつも「MC」となっている個所にはそれぞれ「一言」ってなっていて・・・
とにかく、MCを待つ。そうしたら、何かわかるから・・・
そして、目の前の直を見つめた・・・
必死に平静を装って、プレイしているのが、すごくわかった。
この真ファンの前で、直、辛いよね。プレイするの、辛すぎるよね。
「針の筵」じゃない・・・。
そう感じたら、私は、受け止めなきゃと思った。

こうして、今、La’MuleがLa’MuleのLiveをしている。
La’Muleファンとして、そして、何より真ファンとして、
しっかり受け止めなきゃ!Liveしなきゃ!って。。。

そして、MC。言葉のすべてを覚えているわけではないけれど、

「ご覧の通り、4人です・・・前から意見の違いがあったんだけど、
 ミーティングをしてきたけれど、こういう結果になって、
 いきなり過ぎて・・・どうするとか、どうやっていくとか、
 考えられない状態だけど、とにかくLiveをもうとばしたくは、
 なかったから」

わかったことは、もう真がいないということ。
そのMCの中で、『真』と言う名は、一度も語られなかった・・・。
それで、十分だ。

みんな・・・・言葉がない。すすり泣きが起きる・・・

私は、唖然として・・・だけど涙も出ない。
まず思ったのは、「真、何でこんな、辞め方したの!?」
「この状況(4人でLiveしている)は、どっちのせい?!誰の意志?!
 バンド、そして紺の意志?!真の意志?!一体、どっちなの?!」
様子を伺った・・・でも、それも一目瞭然な気がした・・・。
あなたの意志、そうなんだね、真・・・。
どういう理由であれ、どういう話合いがあったにしろ・・・
あなたが決めたんだね。ファイナルをまっとうせず、姿も見せずに去ることを!
と思った。
(今、こうして、振り返って書きとめてみると、選択肢がもうひとつ・・・
 KAIKIさんというのもあるね)

ほんの8日前には、あなたは飄々と存在していたよね。
今日、この日、こんなことが起こるなんて、ちっとも見せず、
「じゃあ、ファイナルで」とまできいた子もいる・・・
その時は、まだ、La’Muleでいるつもりだった?
それとも、去る決意をしていて、ファイナルは勤めるつもりだった?
それとも・・・
年末からの、あなたの様子が変だったこと・・・
それで一番恐れていたこと・・・
それが、こんなに早く、こんなタイミングで、起こってしまうなんて。

そんなことを考えながら・・・目前では、いやおうなくLiveしている。
真のいないLa’Mule・・・
セットリストには、あなたの創った曲が並ぶ・・・
だけど、あなたの、リードギタアは聴こえない・・・。
私は、いつもと同じ場所にいるのに、見えているものが全然違う、
ギタアが違う。指が違う。姿が違う。顔が違う。当たり前。
真はいないんだ・・・。
ごめんね、直。そんなわかり切ったことを、何度も何度も繰り返す・・・。
ごめんね、直。それでも、今日だけは許して下さい。

ギタアソロのタイミング・・・いなくったって、きこえなくたって、
身についてるものは仕方ない・・・「真っ!」拳を上げる・・・
ごめんね、直。
たまらずに背けた視線の先には、遊哉のぼ〜っとした瞳があった。
それから遊哉は、天を仰いで・・・泣いているの?・・・
紺ちゃんは、顔を上げられないでいる子をじっと見つめている・・・
でも、どうしようもないよね。

私達が、この場から去ってしまえれば、良かったのかも知れない。
だけど、出来なかった。
去ってしまったら、もう、本当に、真のいないことを認めてしまうことになる。
みんながそう思っていたわけではないだろうけれど・・・
私は、そう思っていた。
まだ、いさせて・・・真の場所、私達の場所、いさせて!
今、「私達の居場所」、なくなっちゃおうとしている・・・
だから、ごめんね、直。

思いきり、ヘドバンをした。みんな、思いっきり、ヘドバンをした・・・。
そう、そうしていれば、いつもと同じだから。
真はステージにいるはずだから!真の「姿」感じていられるから!
「ナイフ」・・・真のコーラス・・・。
いつもの様に手を差し伸べる・・・
直の瞳とぶつかってしまった・・・直、何を思ってますか?
何を思っていても、ごめんなさい。
今日のあなたには、謝ることしか出来ません。
そして、本編が終わった・・・。

しずしずとアンコールがかかる。
私達もアンコール!。何だか、よくわからなかったけれど、
とにかく、アンコール・・・これ以上、何を確認したい?
「真と呼んじゃ、いけないですか?」泣きながらきいた友、
「ううん。いいよ!今日はいいよ!呼ぼう!」
ごめんね、La’Mule。私達にも、ケジメが欲しい!
『真ーっ!』
叫んでも虚しさが募るだけ。でも、叫べるのは今だけ・・・。
私は、本当は、こう叫びたかった。「真!出て来いっ!」

「アンコールがかかるとは思ってなかったから・・・」
出てきた紺は、そう言った。

最後に、やっと直が笑顔になった・・・
私も、自然と笑顔になっていた。
「よく、頑張ったね。直!そして、La’Mule!そして、自分」そんな想いで・・・
気づけば、威介も、じっとこちらを見ていた・・・
真ファンを心配してくれていたのならありがとう。

そして、Liveは終わった・・・。

私は、真ファンな仲間、心配して声をかけてくれる仲間、みんなに会いながら・・・
次第に、悲しいとか、寂しいとかの感情より、怒りの感情が勝ってきた。
そう、どうして、こんな辞め方しか出来なかったのか、
真は、こんな奴じゃなかったはず!なのに!なのに!
いいよ、私達真ファンは、あなたのファンだから、まずは、とりあえずいいよ。
だけど、何?!
メンバーに、La’Muleに、そしてLiveを楽しみに来たみんなに、
こんなに辛い思いさせて、不安にさせて、裏切って、
あまりに失礼だよ、真!酷過ぎるよ!

何人かの真ファン以外の友は「真君もそれだけの理由があったんだろうし」と、
声をかけてくれた・・・
だけど、私には、それが、もっと辛かった。
言ってくれていいよ「酷いよ!」って・・・その方が楽だ・・・。
(とは言いつつ、ダイレクトに「酷いよ!」って言ってくれた人もいた。
 それはそれで、やっぱり、かなりきつかったけれどね・・・)

だから私は、気遣ってくれてのそんな言葉にも、うなづけなかった。
もちろん、真の気持ち、そうせざるを得なかった気持ちがあるだろうことは、
痛すぎるほどに感じているから・・・

真ファンとして、真ファンだからこそ、真のしたことを納得しちゃいけない。
そう、周りに対しては・・・
真の代りに、謝って回らなきゃいけないような気にさえなっていて・・・

とにかく、自分自身の「想い」より先に、目に見えている状況で、
いっぱいいっぱい。私が怒らなくってどうする!
そんな気がして・・・。冷たい言葉になっていたのは、ごめんなさい。

そして・・・
知らぬ間に、最後の方まで残っていた人々になってしまっていました。

そして、先にお店に行って、待っててくれた友と、ご飯を食べて、
帰路についた・・・

そして、一人になって、初めて・・・安心して・・・やっと「真」のことを想った。
「真」のことだけを、思いっきり想った・・・。

喪失感。寂しさと、悲しさが、じわじわと押し寄せて来て・・・
切なさの固まり・・・真、どうしちゃったの・・・
もう、音楽、辞めちゃうのかな・・・
真・・・淋しいよ・・・

二千弐年 弐 月 伍 日
横浜アリーナサウンドホール


昨日と同じ時刻。会場に入る。
やっぱり、上手に向かう・・・。一人真ファンが招いてくれたけれど、
すっかり風景が違う。見なれない風景。
「そうかぁ・・・この人達が直ファンなのね・・・そっかぁ・・・」

もう、本当に「私達の居場所」がなくなっていた。

Live、彼ら、頑張ったね。
私も、頑張ったよ。
楽しくさえもあった。

なぜって、
気づいたから・・・自分の中には、たっくさんの真がいたから。
どの曲にも、いっぱいの真がいたから。うん。
だから、楽しかった。真のアクション、真の動き、真の指、真の姿!
そして、真の、真っ直ぐな瞳!

4人をそれぞれに見ていたつもりだけど・・・
記憶に残っているのは、実存しなかったはずの真の姿だった。

そして、La’Muleを、La’Muleの曲を、
本当に大好きである自分を確認した。

だけど、やっぱりね、「真のいたLa’Mule」が私のLa’Mule。
それは、もう、永遠だから・・・。

La’Muleは、La’Muleとして、存在し続けて欲しい。
私も、居ていいなら、見守らせて欲しい。

Live直後、友がきいた
「私達って、来ていていいのかな?
 紺さん達、私達いたら、イヤな気分にならないかな?」
私は、答えた。
「いいんだよ。真が存在したって証の為にも!」って。

そう、その時は、そう堅く思ったんだけれどね・・・

実際のところ、どうなんだろうね。。。
それは、私達次第なんだろうね。
いつまでも、真の面影を追ってこられちゃ、たまらないよね・・・

今は、わからなくなっている・・・
うん。わからない。

時が、時間が、どう作用してくれるのか・・・
それを優しく待ってみます。うん。

真のバカぁ!バカ!バカ!バカ!バカ!バカ!

だけど、好きみたい・・・

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